01
WOODEN ARCHITECTURE
持続可能な建築を目指して
これからの建築で注目されている資材が「木材」です。なぜなら、「木材」は唯一人間が自分たちの手で生み出すことができる資材であり、何百年という時の流れに耐えうる力を秘めた資材だからです。
「木材」の研究は日々進化し、大規模な建築資材として使用されるなどその可能性が広がっています。本課程では資材としての「木材」を十分に理解した上で木造建築を学び、活用の場を創造していきます。
最先端の木造建築を実践的に学べる場に
木村建造株式会社代表/大工/建築士
木村 光行
Kimura Mitsuyuki
担当科目:施工管理1
製図1・2では木造の住宅や中規模建築の設計課題を中心に現場に伝わる図面表現の基礎を学びます。
施工管理1では、現場見学を中心に工事の流れをつかみます。施工管理2では建築士試験に対応。
建築を学ぶときに欠かせないのが構造です。基礎力学では計算ではなく模型を作るなど直感的な方法で構造の考え方を学びます。
構造計画1では、木造住宅の構造の在来軸組工法を基礎から学びます。構造計画2では中規模木造建築の構造の考え方を学びます。
持続可能な建築を実現するために、森林のこと、木材のことを総合的に学びます。木造建築をデザインするために必須となる基礎知識を身につけます。
プランニング、デザイン、設計をしながら、実際に木材を手にして制作まで行います。まずは椅子、次はみんなで考えた屋台や小屋を作る予定です。
建物やインテリア、構造物を設計・監理する専門家。設計図や仕様書を作成し、施工計画の助言及び施工図の承認、施工現場の監理などの業務を行います。
現場での施工計画の作成から施工図の作成及び施工管理(現場での指揮・監督)まで担当する専門職。建築/土木/電気/管工事/通信/造園/機械などの分野があります。
労働災害を防止するための管理を必要とする作業について、事業者が選任する指揮者。
国家資格
02
INTERIOR/RENOVATION
豊かな生活空間を作る
人口減少や高齢化に伴い、2033年には空き家数が総住宅数の3割近くに達すると予想される中、ライフスタイルに合わせて空き家をリノベーションして活用する動きが活発になっています。
高いデザイン力や技術力だけでなく、そこに住まう人や生活を想像し、それをカタチにしていく力が求められるのがリノベーションにおける建築士の仕事。
クライアントとのやり取りを想定した、実践的なコミュニケーション力も育てます。
豊かな生活をかなえる提案ができる人に
株式会社STUDIO KAZ代表
インテリアデザイナー/キッチンデザイナー
和田 浩一
Wada Koichi
担当科目:デザイン論2
音楽の裏方に関わる技術を学びたいと見学に行った大学で、ものづくりやデザインの魅力に惹かれて工業設計を専攻。卒業後はメーカーで建具などの製品デザインに携わっていました。
しかし、製品を販売したその先のコーディネートや、空間そのもののデザインに関わりたいと思うようになり独立。現在は、キッチンを中心とした住まいづくりを提案しながら、工務店コンサルタントとしても活動しています。
環境への配慮や住宅価格上昇の観点から、今後はリノベーションの需要がますます高まると考えられます。
リノベーションとは、いわば暮らしの再構築。たとえば、キッチンの在り方次第でリノベーション後の生活の質は大きく変わります。
しかし、それに気付いていない人が多いのが現状です。
では我々は、人々の生活を豊かにするためにどのようなデザインやプランニングができるのか。
知識や技術に裏打ちされた提案力はもちろん、多角的な視点で物事を見る観察力や、コミュニケーション能力も育てていきたいと考えています。
キッチンを中心にインテリアデザインの基礎を学びます。インテリアコーディネーター取得に必要な基礎知識も学びます。
豊かな空間の実現には照明器具や照明レイアウトなどの知識は不可欠です。照明計画について演習を交えながら実践的に学びます。
室内の明るさ、色彩、温度湿度、空気質、室内環境を豊かにするさまざまな要素について学びます。
ここでは主に子供たちのための木で囲まれた空間のデザインについて、その意味や実現するためのスキルを学びます。
住宅のリノベーションを計画するときに必要な既存住宅の耐震改修などの技術を学びながら、社会的に求められる改修工事の概要に触れます。
図学の基礎とデジタルデザインツールを使った建築デザインのプレゼンテーションスキルを習得します。
インテリアや住宅に関する幅広い知識を持ち、クライアントの要望をヒヤリングし家具や照明等の商品をトータルにプロデュースする専門家。
生活者のニーズに合わせて快適で使いやすいキッチン空間(機能、設備等)を提案し、的確なプランを作成する専門家。
適切な提案・対応ができる、リノベーションの実務に必要な不動産・建築・金融・関連制度などの幅広い基礎知識を身につけた資格者。
03
GLOBAL ENVIRONMENT
地球にやさしい建築
SDGsが話題の昨今、環境問題はあらゆる分野において世界規模で解決すべき課題となっています。
私たちの生活に切り離せない住宅や建物の在り方が、問題解決の糸口になるといわれています。
環境負荷を考えて建築をつくること、素材や性能を見直し適材適所に省エネ設備を選択することなど建築の果たす役割はますます大きくなっています。
本課程では、具体的なエビデンスを伴った、エコでサステナブルな建築方法を模索する力を養います。
地球にやさしい建築の在り方を考える
Atelier Bio 一級建築士事務所代表
建築士/インテリアプランナー
新井 かおり
Arai Kaori
担当科目:環境工学
建築士だった父の影響もあり、自分にしかできないことがしたいと建築の道へ。現在は、住宅の設計を中心に活動しています。
一方、東日本大震災でエネルギー問題の重要性を再認識したことから、太陽光と蓄電池で電力を自給する自身のアトリエ兼住居を建て、街中で再エネ100%の暮らしを実践しています。
また一般社団法人えねこやの活動を通じて省エネや自然エネルギーの普及にも取り組んだり、繊維ごみから建築の素材を開発するプロジェクトにも参加したりしています。
建築の環境工学というと、室温や換気、音響や照明などを思い浮かべるかと思います。授業ではこのような基礎的な知識も教えますが、「地球にやさしい環境づくり」という大きな視点で建築を考える機会も提供したいと考えています。
たとえば、世界のゴミの40%は建築によるものだといわれています。エネルギー問題はもちろん、このゴミ問題をどう解決していくのか。はたまた、森林の循環利用の問題にはどう取り組むのか。
時代に求められる地球にやさしい建築の在り方を、学生の皆さんと一緒に探していきたいと思います。
室内環境について学ぶとともに、地球環境と建築について学びます。建築のデザインを考えるときに必須のエネルギー問題にも触れます。
少ないエネルギーで快適な室内環境を実現する工夫を学びながら、建築士資格取得に必要な基礎知識を学びます。
地域の気候風土を考えたデザインについて「ランドスケープデザイン」という視点から学びます。
建築材料として使う木材の供給源であるとともに森林は地球温暖化抑止に貢献しています。ここでは森林と木材について総合的に学びます。
材料を知るということは建築設計の第一歩です。まずは材料に触れることから始め、再生材、リサイクル材についても学びます。
有限な資源を大切に使うことが大切です。建てては壊すのではなく既存建物利用のスキルを学びます。
省エネ住宅設計・熱損失計算の基礎知識を持ち、省エネルギーに関する高度、専門的な診断指導等を行う専門家。
ビルや住宅の屋上緑化や人工地盤上の緑化、さらに建物内外の壁面緑化など、建物緑化を安心・安全に設計・施工する専門家。
環境について幅広い知識を体系的に身につけ、ビジネスと環境の相関を的確に説明し、環境問題に取り組む、「環境教育の入門編」に位置付けられる検定。
04
TOWN PLANNING/LANDSCAPE
風景を作り、まちを作る
そこに住まう人たちが形成するコミュニティや日々の生活が形づくる風景は、長い時間の経過とともに文化として昇華されていきます。
だからこそ本課程では、個々の建造物だけを見てそれに固執するのではなく、風景や街を構成する要素として建造物を捉える視点を大切にしたいと考えています。
誰もがくつろげる場所・空間とは─。社会の中で建築が担う大きな役割について学びます。
自然と共生する風景の未来をつくる
一般社団法人BOOT代表
ランドスケープアーキテクト
矢部 佳宏
Yabe Yoshihiro
担当科目:デザイン論3
日本のランドスケープアーキテクトの草分けともいえる上山良子先生に師事。
東京、カナダ、上海でランドスケープデザインに携わってきました。
そんな中で起きた東日本大震災。今の自分にできることは何かと考えた時、自分にとって大切な風景の未来をつくることだと思い立ち、故郷である福島県西会津町に戻りました。
現在は、西会津国際芸術村のディレクターを務めながら、複数の地域活性化プロジェクトに関わっています。
普段、何気なく目にする風景は、その人の人生に大きな影響を与えています。
では、自然と人間、双方に利益をもたらす風景をデザインするにはどうしたらよいのでしょうか。そこに住む人たちのマインドセットを変えていかなければならないかもしれません。
公益、共益、私益といった枠を越えた、新たな社会の仕組みが必要になるかもしれません。
大きなスケールで文脈を捉えてデザインする力を身につけ、街づくりや地球環境などさまざまな視点から、次世代につなぐ持続可能な風景を考えていきましょう。
植栽計画、造園計画を学ぶとともに大きな地域のデザイン、まちづくりのデザインを学びます。
まちづくりで欠かせない空き家対策の課題解決に必要な住宅診断や耐震診断、そして改修計画と耐震改修の基礎について学びます。
日本の森林について環境生態学視点から学ぶことで日本の原風景や森と人との共生について考えます。
照明計画の基礎を身につけ、明かり・照明が人に与える効果をもとにした空間、街並み作りを学びます。
東西建築の歴史を学ぶとともに歴史的な建築の保存について学びます。
地域作り、まちづくりに必要なコミュニケーションの力をグループディスカッションなどを通して身につけます。
持続可能な市域活性に向け、空き家に関連するあらゆる課題をトータルで対応できる環境整備を行う専門家。
地域に眠る歴史的文化遺産を発見し、保存、活用し、まちづくりに活かす能力を持った、地域文化活性化の一翼を担う専門家。
再開発に関する法規等の知識や事業計画、権利変換計画などの企画、調整に係る知識及び技術を備えた専門家。
祖父から受け継いだ会社も今年で創業86年。ここまでの間に大工道具は進歩し、構造部材は工場でプレカットされて現場に届くようになるなど、大工仕事も大きく変わりました。
そんな時代の流れに合ったより精度の高い木造建築を追求すべく、新しい木質材料や最新の工法を用いた耐震実験用の試験体の施工に携わるなど、最先端の木造建築の研究にも力を入れています。
法改正により公共建築物の木材利用が推進される中、木造建築の専門的な技術や知識を持つ人材が求められています。
また、地球温暖化による気候変動の影響で現場の不確定要素は増しており、生産管理や施工管理の視点から現場をディレクションできる建築士の需要も高まっています。
人間の感性を受け止める柔軟さを持つ「木」という素材の魅力を伝えつつ、座学に頼らない実践的な学びの場を提供し、今の時代が求める木造建築のプロフェッショナルを育てていきたい─。
人と人とがつながって一つのものを作り上げる、建築の仕事の醍醐味も共有できれば幸いです。